2008年9月12日金曜日

鳥インフルエンザと新型インフルエンザ

  こんなことを書くとマスコミに叱られそうだが、「鳥インフルエンザの報道によって、ニワトリに対する抜きがたい恐怖心を日本の社会に撒き散らしたのは新聞・テレビなどのマスコミだ」と、僕は断言してもよい。鳥インフルエンザも新型インフルエンザもごちゃ混ぜで報道されていたことを、僕は指摘している。もちろん、行政機関のマスコミへの資料提供が説明不足だったり、適切でなかったことも原因しているだろう。しかしながら、報道する立場の者は、もっと勉強すべきである。不勉強なまま、行政機関から出てきた資料や聞き取った事項を、馬鹿の丸写しで報道するから世の中に無用の混乱が起きるのだ。もっとも、最近はようやくそのことが分かってきたようで、新型インフルエンザと鳥インフルエンザを意識して使い分けるようになったよね。
  隣村の神社にアオサギが住み着いている。昨秋だが、僕が夜に神社の前の道を車で通りかかったら、アオサギが道端にたたずんでいた。まだ幼鳥で飛び始めらしく、警笛を鳴らしても退いてくれない。これが「未必の故意」だなと思いながら、ゆっくりとその上を通った。家に着いて車を降りたら、アオサギも車の下から出てきて公道に歩いて行った。
  翌朝、我が家から50メートルほど離れた家の人が役場に電話をしたらしい。「アオサギが家の前をうろついている。孫が突かれると困るので、捕まえてほしい。」ところが、役場の返事が「野鳥はむやみに捕まえられないので、放置しておいてほしい」ということだったらしい。野鳥も鳥インフルエンザに罹っているかもしてないのに、どうして鶏ばかりうるさく注意されなければならないのか、と僕は思った。そして、野鳥は「自然保護」とか「環境保護」の風に乗り、H5N1型のインフルエンザウイルスに感染していても一網打尽に捕まえられて焼き鳥にされず、マスクも掛けずに飛んでいる。
  僕は、今年の4月からシャモ(軍鶏)を10羽だけ飼っている。鶏の飼料としてホシアオバという米を今年から作り始めたので、町役場に連絡した。飼料用米は減反作物に認められているからだ。そうしたら、野鳥が軍鶏と接触しない構造になっていないか、役場から、早速、鶏舎を視察に来た。国や県から役場に指示が来ているからだが、鶏舎の周りに消石灰を撒いたり、鶏舎の出入りに長靴を消毒しなければならない。どうして鶏ばかり危険視するのかというと、「鶏の鳥インフルエンザは人に移るので超危険」という常識が世間に蔓延しているからだが、取り締まる当局も指弾されるのを恐れてやっているのだと僕は思っている。
  このような例は、他にもありそうだなあ。子供のいじめ問題の発生を恐れて、携帯電話を目の敵にしているのも似たような例かも知れない。因果関係の濃淡を他人に説明するのは、本当に難しいことなんですよ。言葉では「相当因果関係」とか「条件的?因果関係」とか言って区分できるように言っているが、現実に国内で鶏から新型インフルエンザへ転移したら、「可能性は薄かったのですが・・・」と弁解してもダメ。現実に携帯電話のメールが原因で子供が自殺したら、一気に携帯電話は悪者になってしまう。論理学の学者は何を研究しているんだね。因果関係の濃淡を説明して納得できる有効な論理は考え出せないのかね、ええ? だから日本ではクレーマーがはびこるんだよ。結果だけ報道すればよい報道機関が、ヤクザまがいに幅を効かせているんだよ。
  2009年2月3日、農水省はフランスのフォアグラを輸入禁止にしたそうです。フランスで鳥インフルエンザが発生しているからです。この事実に対しても、今後、いろんな憶測が成されることでしょう。菌が日本国内に入り込まないようにすることが本旨だと思いますが、この鳥インフルエンザが新型インフルエンザと混同されるに違いありません。フォアグラのH5N1型の菌が変異して人から人へ移るかも知れないことを否定するつもりはありません。また、少し騒ぎすぎだとたしなめるつもりもありません。しかし、憶測はできるだけ避けて、科学的知見に基づく意見に冷静に耳を傾けなければなりません。

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