2008年2月24日日曜日

大学の公開講義

  滋賀県立大学から20年度前期公開講義のお知らせが来た。今回も受けようと思っている。受講目的は、今年から始める養鶏の試験的飼育に役立たせるためだ。募集要項では89科目あるが、とりあえず2科目を受講しようと思っている。

  一つは「栄養生化学」である。柴田克己教授の担当。概要は、健康の維持・増進の基になる栄養素の化学と栄養素の代謝を理解することだ。講義の内容は人間を対象にするものだが、私は鶏に置き換えて考えようと、もくろんでいる。講義は全部で14回あって、アミノ酸・ペプチド・タンパク、酵素、ビタミン、ミネラル、糖質、糖質の代謝、クエン酸サイクル、電子伝達と参加的リン参加、脂質と膜、脂質の代謝、アミノ酸の生合成、アミノ酸の異化、核酸、代謝の総合的理解、となっている。

  福岡伸一氏の「生物と無生物のあいだ」を先日読んだ。文学的素養が随所に見られ、ありきたりの推理小説よりもはるかに面白く、どきどきしながら読み通した。私の息子もこの本を読んでいたので感想を聞いたら、「なにを言いたいのか、よく分からない」とのことだった。確かにそんな傾向はあるが、私は生化学の知識を得ることが目的だったので、初学者に対する懇切丁寧な説明で、難解なこの分野のガイダンス的な理解に役立った。だから、県立大の栄養生化学に期待している。テキストは、「マッキー生化学」だが、福岡氏が「監訳」で関わっているのも何かの縁だ。

  鶏の生化学ということにすり替えて理解しようと思う。鳥類は爬虫類から分化したものだと思っているが、人間も遠い祖先はその他の生物とどこかで繋がっているのだから、栄養も似通っているんじゃないだろうか。鳥類には気嚢があり、酸欠状態でも生き延びることができるが、鶏のその他いろんな身体的特性を利用して、早く大きく生育させる方法を考えたい。また、その辺を知的財産権として固められたらいいんだけどなあ。

  二つ目の受講科目は「人間文化論C」である。家族、住居、食事の三分野を土屋教授、早川教授、松嶋講師が担当される。鶏は早くから人が飼育を始めているので、人間の文化との関わりはきわめて深いものがある。鶏の原種はインドシナ半島ではなかったろうか。とにかく現在でも、東南アジアでは沢山飼われている。詳しくは知らないが、家族と鶏が同居しているらしいことから、今、問題にされている鳥インフルエンザの人への感染が危惧されている。グーグルニュースのインド版を見ていても、健康欄には鳥インフルエンザの鶏への感染が載っている。消毒や殺すことを嫌がって、住民が抵抗しているらしい。イギリスでも野鳥がH5N1型に罹っているらしい。インドネシアや中国でも、鶏から人への感染が報道されている。H5N1型鳥インフルエンザについては、厚生労働省・国立感染症研究所・全国保健所長会、それから岡田晴恵氏・小樽保健所のホームページが詳しい。話があちこち飛んでしまったが、鶏と人間の文化史を頭に置いてこの講義を聴こうと思っている。

  こんな分類はあるのかどうか知らないが、私は、食事の調理法を三つに分けたい。日本のように水が豊富なところでは、「水多使用型調理法」。一方、乾燥地帯など飲料水が容易に得られないところの「乾式調理法」、そして「中間型」とする。(調理の専門家でもない者がこんなことを主張していいのかな。)

  日本人の清潔好きは、水が豊富だからできることであり、調理の際にもやたらなんでも洗いたがる。もちろん水が豊富だからいろいろの植物が生育するので、それを採取して食材にする。植物にはアルカロイドが含まれているので、それを煮てアルカロイドを取り除く。あっそうか、日本では植物性の食材を多く使うから「水多使用型」になるんだ。その点、乾燥地帯では羊などの動物性の食材を使うから水の使用が少なくて済む。乾燥地帯のモンゴルなんかでは、羊の血まで食材にするらしい。

  私の言いたいことは、日本では植物性の食材を中心とするから、よく水を使うことになり、手間が掛かる。鶏肉だって野菜と一緒に煮ることが多いから、手間が掛かる。養鶏をして鶏肉を供給する立場になると、人の生活文化に沿った食材を提供すべきであり、多様化する食事のスタイルに適合する食材を開発しなければならない。うんそれだ。人間文化論をしっかり聴講して、食材を開発し、その国に合ったものを輸出するのだ。だいぶん大きな話になってきたが、このくらいは事業の理念として考えておかないと。H5N1型のウイルスを持った野鳥がもうすぐ日本にも飛んできて、そのうちパンデミックが起きようとしている矢先に、養鶏を真正面から取り組もうとするのだから、リスクも大きいなあ。

  皆さん、パンデミックの対策は少しは進んでいますか。昔、オイルショックの時にトイレットペーパーが品切れになったように、パンデミックになればマスクや解熱剤は品切れになりますよ。雪が降ってスコップが品切れになるように。さきほどのホームページを見て、すこしづつ準備をしていきましょう。

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